[かぶ] 「科学映画ってなに? -第二回科学映画研究会-」 DARWIN ROOM 2014.5.30

先月に続いて、参加してきました。科学映画研究会。今回のテーマは「観察する」。

岩波DVDシリーズ 日本のドキュメンタリーの、産業・科学編ほかから3作を見て色々と話を聞きました。

今回見た映像の入ったDVDの、岩波書店のサイトはこちら。
岩波DVDシリーズ 日本のドキュメンタリー DVD-BOX 「産業・科学編」

科学映画、記録映画の様々な形を知ることが出来た、興味深い組み合わせの3作。

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今回見た映像は、

「もんしろちょう-行動の実験的観察について」(1968) 羽田澄子 監督
http://www.yidff.jp/2007/cat089/07c100.html#t3

「ものとその重さ」(1969) 科学教育映画体系
http://www.yidff.jp/2007/cat089/07c102.html#t3

「真正粘菌の生活史」(1997) 樋口源一郎 監督
http://movie.walkerplus.com/mv29546/

ただ、実験を積み重ね、考察と予測を積み重ねていく、私情を排した記録映画の形。

羽田澄子 – Wikipedia

一作目、「もんしろちょう」は、その副題「行動の実験的観察」にも表されるように、実験記録映画として、地道な実験の積み重ねを淡々と記録していったもの。

人が物の現象を見て、美しい、不思議、と思ったその先にある単純な疑問を、仮説→検証→仮説→検証→という中で突き詰めていくもの。研究論文の記録映画のような視点、と捉えれば良いのかもしれません。

映像というのは、意識するしないに関わらず、その中に勝手に物語を作ってしまうもの。ということは、作り手の意思でロマンにも残酷な現実にもなり得る、ということです。

もんしろちょうの雄が雌を判別して集まる、という事柄を、ロマン的な要素を一切排して、実験に実験を重ねて、単にその羽の色合いに反応しているだけである、という事実にたどり着く過程は、面白くもありますが、人によっては、見なければ、知らなければ良かった、とつい思いたくなってしまいそうな、少し寂しい現実でもあります。そんなところが羽田さんのこの作品の特徴でもあり、記録映画の一つの形かもしれません。

今回、こちらの本の第3章科学と映像より、p.137~143『「もんしろちょうー行動の実験的観察」について』として、羽田澄子さんの、このドキュメンタリーの撮影についての背景を語った文章を参考資料として読むことが出来ました。単にドキュメンタリーの映像だけを見てしまうと、見る人によってはとらえどころの無いまま何となく見終えてしまうと思うのですが、こちらの文章を読んだ上で改めて見直してみると、色々とまた面白く、感じることも多々出てくると思います。一読をお奨めします。

一般的な、教育映像としての記録映画。

二作目の「ものとその重さ」は、1969年当時の教育映画。教育する、という目的、結論に向かって進めていくものであるため、台本もあり、ストーリーもあり、映像の利点を生かしつつ、楽しみながら見ることが出来る内容だと思います。今見ても充分に笑え、楽しめる、一般的に科学映画と言われれば、こういうものをイメージしそうな、そんな映像でした。リラックスして懐かしく見ることが出来そうな作品です。

解説の映像を撮る記録映画の世界において、作り手の想いと主観と物語が詰まった、一つの世界としての記録映画の形。

百歳の映画作家 樋口源一郎

三作目の樋口源一郎さんによる「真正粘菌の生活史」は、樋口さんの主観たっぷりの、想い入れの入った一作品。記録映画にはこういう形もあるのだな、という興味深いものでした。正直、樋口ワールドで、当然初めて聞く専門用語も解説無しにふんだんに出てくるかと思えば、粘菌の動きや形一つ一つにロマンを感じさせる表現に、樋口さんの粘菌への深い愛情や美学を感じさせられます。

高尚で独特の世界観は、なかなか一回見ただけでは理解するのは難しいですが、映像の美しさに時折ハッとさせられるのは、そうした一つ一つの事象にも、樋口さんが何か意味を持たせ、効果的な演出を施しているからなのかもしれません。

「観察」という共通のテーマを通しても、様々な形があるということ。

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今回のこの三作品は、まるで対比するために、見比べるためにあるかのように、それぞれが興味深い内容で、そうした意味でも、各映像毎の感想や意見交換がなかなか活発に行われました。

参加者の一人が言われていましたが、

「予定調和の安っぽい映像は、今の時代、もういい、と飽きられてきている。」

「これだけネットで気軽にYouTubeなどで短い簡単な映像が入手出来る世の中」

「そんな中で、作り手も、求められたことに応じていくように、そんな作品ばかりになってしまった中で、こうした(今回見たような)記録映画、科学映画のようなものは、貴重でもあり、また映像の可能性として面白い。」

非常に興味深い意見の多く交わされた、とても濃い、約2時間弱の研究会でした。終了後もまだまだお茶などを追加注文しながら話は盛り上がっていたようですが、ひとまず私たち夫婦はお先に失礼させて頂きました。

そんな注目の科学映画研究会の次回は6/27!

ということで、次回は6/27(金)です。まだサイトでは告知されていませんが、ご興味のある方は、是非ご参加下さい。

DARWIN ROOM

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